第183回国会 衆議院 本会議 第10号

衆議院本会議第10号(2013年3月5日)

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008 安倍晋三

 渡辺喜美議員にお答えをいたします。

 消費税率の引き上げについてのお尋ねがありました。

 今般の一体改革による消費税率の引き上げは、増大する社会保障の持続性と安心の確保、国の信認維持のために行うものであります。

 法律で来年四月に引き上げることが決まっておりますが、機械的に何が何でも引き上げるということではなく、一体改革の目的に沿って、税収を確保できることが重要と考えております。

 例えば、強いデフレが続いて、消費税率を引き上げても逆に減収になるようでは、意味がありません。

 本年秋に、附則第十八条にのっとって、名目及び実質の経済成長率等、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案して判断していくこととなります。

 いずれにしても、三本の矢で、長引くデフレから脱却をし、日本経済を全力で再生してまいります。

 金融政策や経済政策についての候補者の考え方を踏まえた次期日銀総裁、副総裁人事についてお尋ねがありました。

 次期日銀総裁、副総裁については、出身母体は問わず、デフレ脱却に向け、金融政策に関する私の考え方に理解をいただき、確固たる決意と能力でこの課題に取り組んでいただく方、そして国際社会への発信力もある方を念頭に人選を行ってまいりました。

 その際、私みずから、黒田氏、岩田氏及び中曽氏の三名の候補者本人と、私の金融政策、経済政策の考え方について意見交換を行い、最適任の方々として、先日、国会に提示したところであります。

 今後、国会の御同意を得て、黒田氏、岩田氏及び中曽氏のもと、日本銀行が責任を持って大胆な金融緩和を行っていくことを期待しております。

 渡辺代表にもぜひ御賛同をいただきたいと思います。

 外為特会が保有する外貨準備高についてのお尋ねがありました。

 外為特会が保有する外貨準備は、為替介入を行った結果として保有しているものであり、御指摘のような既得権益の温存のために保有しているものではありません。

 日銀法改正についてのお尋ねがありました。

 日銀法改正については、将来の選択肢として常に視野に入れておりますが、まずは二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することが重要であり、日本銀行が責任を持って大胆な金融緩和を行っていくことを期待しております。

 また、共同声明では、経済財政諮問会議において金融政策等について検証することとしており、日本銀行の説明責任を強化することにより、共同声明の実効性を確保する仕組みとしております。

 物価安定目標の達成責任の所在についてお尋ねがありました。

 共同声明において、日本銀行が、みずから二%の物価安定目標を定め、これをできるだけ早期に実現することを目標とすることが明確に規定されており、物価安定目標を達成することに関する責任は日本銀行にあるものと認識しております。

 なお、物価上昇は、実体経済の成長を伴って安定的に実現していくことが望ましいことから、政府としても、機動的なマクロ経済政策運営に努めるとともに、成長力、競争力の強化の取り組みを実行することとしております。

 天下りについてのお尋ねがありました。

 国家公務員の再就職に関して問題なのは、公務員OBの口きき、予算、権限を背景とした再就職の押しつけ等の不適切な行為であります。

 昨年立ち上がった再就職等監視委員会による監視のもと、こうした不適切な行為を厳格に規制していくことで天下りを根絶し、再就職に関する国民の疑念を払拭してまいります。

 公共事業の拡大による影響についてお尋ねがありました。

 平成二十五年度予算案における公共事業については、地方公共団体とも連絡をとり合いながら、インフラの老朽化対策や耐震化などの国民の生活を守る事業、成長や地域活性化を促す事業など、時代やニーズの変化に対応した、真に必要な経費を計上しており、無駄な予算は含まれていないと考えております。

 また、御指摘のあった被災地の入札不調や資材、人手の不足については、発注規模の大型化や公共工事用の生コンクリートのプラントの新設、技術者の配置基準の緩和などにより、柔軟かつ迅速に対応してまいります。

 その上で、地方公共団体と協力して、平成二十五年度予算案に計上している公共事業を早期に執行することにより、経済対策として、経済波及効果が早期に発現するよう努めてまいります。

 いわゆる官民ファンドについてのお尋ねがありました。

 日本の豊富な民間資金、多様な人材、すぐれた技術力などの潜在力を最大限に引き出し、成長による富の創出を実現するためには、市場へのリスクマネーの供給や、それを呼び水とした民間の出資や融資の促進が喫緊の課題であり、御指摘のいわゆる官民ファンドについては、このような課題への対応に資するものと考えております。

 また、各施策においては、十分な審査体制及びリスク管理体制のもとで、民間主導で投資案件の精査を行い、収益性の確保に努めることとしています。

 なお、国家公務員の再就職に関しては、再就職等監視委員会による監視のもと、国家公務員法に基づく再就職規制を厳格に運用し、天下りを根絶してまいります。

 電力の規制改革についてのお尋ねがありました。

 御指摘の発送電分離については、実質的に配送電部門の中立性が確保されることが重要です。また、御指摘の小売の自由化についても、実質的に消費者の選択肢が確保されることが重要です。

 これらの点に留意し、かつ安定供給を大前提としつつ、電力分野の規制改革を着実に進めてまいります。

 農業の改革についてお尋ねがありました。

 農業は、国民に食料を供給し、地域経済を支える重要な産業であるとともに、美しいふるさとや国土を守る多面的な機能を果たしており、私の内閣においては、農業を成長分野と位置づけ、その潜在力を引き出していくことが必要と考えております。

 その際、平成二十一年の農地法改正により、株式会社の農業参入は、リース方式であれば完全に自由化されており、現在、リース方式による参入を進めているところです。

 また、農協法は、農家組合員の選択により、自主的に農協の事業範囲を決めており、独占禁止法についても、不公正な取引方法に関しては、農協を適用除外としているわけではありません。

 今後、農業が多くの若者にも魅力ある産業となるよう、攻めの農業の展開を図ってまいります。

 TPP等の経済連携についてお尋ねがありました。

 政府としては、TPPについては、今般の首脳会談で私自身が得た認識も踏まえ、国益にかなう最善の道を求めてまいります。

 交渉に参加するかどうかについては、党内や米国との協議も踏まえ、私が最終的に判断をしてまいります。

 また、御指摘の東アジア地域包括的経済連携への取り組みを含め、アジア太平洋地域、東アジア地域、欧州などとの経済連携を戦略的に推進してまいります。

 国家公務員制度改革についてお尋ねがありました。

 国家公務員制度改革の重要性については、国家公務員制度改革基本法が成立した当時と現在とで、いささかも変わっていないと認識しております。

 行政や公務員制度のあり方について、これまでの改革の成果に加え、国際的な大競争時代への変化を捉え、改革を進める必要があります。

 これまで、基本法に基づき提出された法案に対してさまざまな議論があったことも踏まえ、過去の経緯の総括を行った上で、必要な改革を進めてまいります。

 歳入庁の設置についてお尋ねがありました。

 歳入庁については、昨年成立した税制抜本改革法において、自民、公明、民主の三党合意に基づき、年金保険料の徴収体制強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施するとされているところです。

 政府としては、この法律の規定に基づき、年金保険料の徴収体制をどのように強化していくのか、幅広い観点から検討してまいります。  選挙におけるインターネットの活用についてのお尋ねがありました。

 選挙におけるインターネットの活用は、選挙運動のあり方という、まさに選挙の基本的ルールにかかわる極めて重要な事項であり、各党各会派において、これまで、意見集約に向け積極的に協議されております。

 現段階でなおさまざまな御意見があり、さらに議論を深めていただき、結論を得ていくことが重要と考えます。

 私としては、公正性に配慮しつつ、できる限り早期に選挙で解禁できるよう取り組んでまいります。

 原子力政策と電力自由化についてお尋ねがありました。

 原子力を含むエネルギー政策については、まず、いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提であります。

 この点、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするという前政権の方針はゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。

 その際、電力システムの抜本的な改革に着手するとともに、できる限り原発依存度を低減させていくという方向で検討してまいります。

 電力自由化についてのお尋ねがありました。

 電力自由化については、電力供給構造のあり方及び小売全面自由化の工程等について検討を進め、安定供給を大前提としつつ、具体化を図ってまいります。

 この国会において、関連する法案を提出できるよう、準備を進めております。

 土地の買い取り・借り上げ法案についてのお尋ねがありました。

 原子力事故により生じた損害に関しては、国が被害者の土地や建物を直接買い上げ、借り上げて補償するのではなく、一義的に、原子力損害賠償法に基づいて、東京電力に賠償の責任を負わせることが適切と考えます。

 東京電力が着実に足元の賠償等に取り組むよう、原子力損害賠償支援機構法に基づく枠組みのもとで、政府としても、進捗状況をフォローし、しっかり支えてまいります。

 指定廃棄物の最終処分場についてのお尋ねがありました。

 指定廃棄物の最終処分場の候補地の選定については、前政権下での取り組みについて改めるべきところは改めて、自治体との意見交換を重視した選定プロセスに大幅に見直すこととしました。

 今後は、手順を踏んで着実に前進できるよう取り組んでまいります。

 各県で発生している指定廃棄物については、それぞれの地域の問題として、各県単位で処分することが適当であると考えます。

 民法第七百六十六条の改正の趣旨の周知についてお尋ねがありました。

 民法第七百六十六条は、離婚の際に面会交流や養育費の分担について取り決めることが子の利益の観点から重要であることに鑑み改正されたものであり、引き続き、その趣旨を広く一般に周知徹底してまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣麻生太郎君登壇〕

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