第197回国会 衆議院 法務委員会 第2号

衆議院法務委員会第2号(2018年11月13日)

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207 大内聡

 お答え申し上げます。

 配付資料の最後のものだと思いますけれども、経済産業省が平成二十九年二月から三月に実施いたしました繊維業界における下請取引実態調査における最低賃金等の引上げに伴う取引価格の引上げ状況についてお答え申し上げます。

 繊維業界全体につきまして、一番右でございますが、特に協議は行っておらず、引き上げられていないが六三・四%、協議を行ったが引き上げてもらえなかったが六・〇%、協議を行った結果、最低賃金・工賃の上昇分の一部のみ引き上げられたが九・三%であり、これらの合計は七八・七%となっております。

 また、岐阜県の縫製業におきましては、特に協議は行っておらず、引き上げられていないが五三・一%、協議を行ったが引き上げてもらえなかったが一六・三%、協議を行った結果、最低賃金・工賃の上昇分の一部のみ引き上げられたが二〇・四%であり、これらの合計は八九・八%となっております。

208 藤野保史

 今答弁いただいたように、これは貴重な調査だと思うんです。経産省自身が繊維産業におけるさまざまな調査をされておりまして、その中で、最賃を引き上げるわけですけれども、ですから、使用者は基本的には払わないといけない。しかし、元請からの単価、元請からの工賃がそれに見合って上がらないものですから、どうしても引き上げられないという状況なんですね。それが全体の八割とか、岐阜県においては九割に達しているという状況をお示しいただきました。

 ですから、私が申し上げたいのは、こういう状況、いわゆる下請の末端で技能実習生始め働かれている方、真面目な経営者の方は、払いたい、最賃も上がったしという思いもあるわけですけれども、肝心の元請からの工賃が上がらない。どうしたってこれは厳しいものがあるわけですね。

 大臣、やはりこういう状況に合わせてメスを入れていかないといけないんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

209 大内聡

 まず、経済産業省の取組について御紹介させていただきます。

 経済産業省では、下請取引の適正化を通じて、下請中小企業が賃上げできる環境を整備するため、平成二十八年九月に、未来志向型の取引慣行に向けて、世耕プランと申しておりますが、を取りまとめまして、これに基づき、下請代金の現金払い化やコスト負担の適正化などに向け、関係法令の運用強化や手形通達の改正を行っております。

 また、改正内容等を踏まえまして、下請事業者と親事業者との間で適正な下請取引が行われるよう、国が策定する下請ガイドラインについて、望ましい取引事例、ベストプラクティス等を追記する等の改正をしたほか、世耕プランの重点三課題の一つとなっていた型の取扱いについても、型の廃棄、保管料支払い、マニュアル整備等の具体的なアクションプランを平成二十九年七月に取りまとめました。

 こうした取組を踏まえまして、主要産業界に対して自主行動計画の策定を要請し、現在までに、繊維業界を含む十二業種、三十団体に計画を策定、公表していただいております。

 引き続き、賃金適正化を始め下請取引改善に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

210 藤野保史

 それは私も説明いただいて踏まえておりますし、ガイドラインも読ませてもらいました。ただ、その後、改善が見られたのかと聞きますと、それはもう把握していないわけですね。この調査自体は一つの調査だと思いますし、継続してやる必要があると思うんですが、実態は改善していない。

 同じ経産省さんの調査でこういう結果も出ているんですね。最賃が上がったけれども、逆に、発注事業者から協議がなく、一方的な要請で従来に比べて取引代金の切下げが行われたことがありますかという、上がるどころか切下げが行われた、しかも一方的に、協議なしというのが三五%あるわけであります。

 ですから、やはり大臣、今度は大臣にお聞きしたいんですが、こういう構造があるわけです、既に。低賃金、低工賃ですね。ここにメスを入れないまま、いや、人手が足りませんから、これは外国人で補いましょうというやり方をしても、これは問題解決するどころか、むしろ深刻化する、そうなっていくんじゃないですか、大臣。

211 葉梨康弘

 山下法務大臣、簡潔にお願いします。

212 山下貴司

 まず、これにつきましては、一般論として申し上げれば、国内人材の確保や生産性向上の取組を行ってもなおというところを見るわけでございます。その国内人材確保の取組の中に処遇の状況であるとか御指摘の部分というのも含まれておりまして、それについても業所管庁との協議あるいは関係閣僚会議の中でも見させていただきたいというふうに考えております。

213 藤野保史

 ここがまさに重要でありまして、そこなしに幾ら入れても意味がないということを指摘したいと思います。

 最後に、資料の提出についてはしっかり求めて、質問を終わります。

214 葉梨康弘

 以上で藤野保史君の質疑は終了いたしました。

 次に、串田誠一君。

215 串田誠一

 日本維新の会の串田誠一でございます。

 山下新法務大臣、御就任おめでとうございます。

 通常国会においても、法務省においては何十年も改正されなかった法律が改正されていたということで、私も少数政党なものですから、いろいろな委員会に質問させていただいたりしているんですが、私から見て、何か法務省は一番頑張っていらっしゃるなと思っております。その流れをぜひ山下大臣にもつなげていただきたいと思うんですが、その一つとして、きょうは共同親権をちょっとお聞きしたいと思います。

 ことしの七月でしょうか、読売新聞で、上川前法務大臣が共同親権については検討を表明という大きな見出しで記事になっております。この上川大臣のバトンを受けてやるんだというのを所信表明で言われておりました。これは共同親権に関しても検討するという理解でよろしいんでしょうか。

216 山下貴司

 お答え申し上げます。

 まず、上川前法務大臣からのバトンを受け取るということに関しましては、私自身、上川前法務大臣のもとで政務官として務めていたわけでございます。そして、上川前大臣におかれましては、国民に寄り添った法務行政の実現や国民にわかりやすい説明、国内外を問わない積極的な広報等に全力で取り組まれ、着実に成果を上げられた。その一端が通常国会での法案の成立についても見られたところでございます。

 そうしたことにおいて、国民の皆様が納得し、共感し、信頼していただけるということ、国民に身近な民法、刑法、各法令の基礎となる基本法令の整備を通じた法秩序の維持や国民の権利擁護を任務とするということで、その信頼が大事であるということを上川大臣はお示しになられたということでございます。

 そうした上川大臣を始めとする先人が築き上げてきた国民に信頼されてきた法務行政をしっかりと引き継いでまいりたい。そして、平口副大臣、門山政務官、法務省五万三千の職員と協力して、全員野球で課題から取り組んでいきたい、その思いを述べたものでございます。

 そして、次に、御指摘の七月の読売新聞の取材につきましては、御指摘のような読売新聞の記事が報道されたということは認識はしておるんですが、上川前大臣は、在任時は、親子法制の諸課題について不断の検討を重ねていくという謙虚な姿勢を持ち続けたいという趣旨の発言をされておられました。そうした意味において、前大臣と同様に、子供の利益を最優先に考えるという視点で、親子法制の諸課題について必要な検討を進めてまいりたいという思いを持っておるところでございます。

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217 串田誠一

 新聞によりますと、「単独親権制度の見直しも含めて広く検討してみたい」というふうに、かなり具体的に記事になっております。

 今回、入管法の問題もあります。そういう意味では、グローバル化していくということも事実だと思います。そういう意味では、親権に関しては、単独親権と共同親権という二つの制度があるわけですけれども、先進国において、単独親権と共同親権と、どちらの制度を各国が採用されているのか、お聞きしたいと思います。

218 小野瀬厚

 お答えいたします。

 先進国の現在の状況につきまして網羅的に把握しているものではございませんが、少なくとも、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、イタリアなど、日本を除くG7各国におきましては、離婚後の共同親権制度を採用しているものと承知しております。

219 串田誠一

 今の答えを聞いていただいたと思うんですが、先進国中、単独親権というのは我が国だけなんですよ。あとは全部共同親権。何で我が国だけが単独親権なのか。グローバル化してくるわけですから、日本人も海外で暮らす、そして海外の人も日本で暮らす。そういう中では、親子のあり方というものは、やはり世界標準になっていかなければならないと思うんです。

 ほかの国がみんな共同親権なのに、なぜ我が国が単独親権なのかということを含めて、大臣として、やはり検討を始めていただかなければいけないと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

220 小野瀬厚

 まず、私の方から、今委員御指摘の、現行法、我が国の法制がなぜ単独親権としているのかということについて答弁させていただければと存じます。

 親権には、子供の監護あるいは教育に関する意思決定を始めといたしまして、やはり適時適切な権限の行使が求められるものが含まれておりますけれども、父母が離婚して共同生活を行っていない場合には、父母間で意思疎通をうまく図れずに、適時適切な親権の行使が難しいこともあると考えられます。

 このように父母が婚姻関係にない場合にも、親権を共同して行使すべきものといたしますと、円滑に意思決定がされずに、子の利益に反するおそれがあります。また、父母間の感情的な対立が根深い場合のように、そもそも夫婦が協力して親権を行使することを期待することができないこともありますことから、離婚後におきましては、父母の一方が単独で親権を行使することとされたものと考えられております。

221 山下貴司

 今、民事局長から説明をさせましたけれども、単独親権においては、我が国において採用しているそれなりの理由があるというわけでございます。破綻した夫婦において共同で親権を行使するのが妥当であるかという問題もございます。

 ただ、子の養育につきまして、一般論といたしましては、父母は、離婚した後であっても、子供にとっては親であることは変わりはございません。離婚後も両親が適切な形で子の養育にかかわるということは、子の利益の観点からも非常に重要なものであるというふうに考えております。

 これらの問題につきましては、今、さまざまなところで、例えば議員連盟などについても検討がなされているものと承知をしておりますが、法務省としても、そのようなさまざまな場面において必要な説明や協力をさせていただいておるところでございまして、そういった議論も踏まえながら、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

222 串田誠一

 弊害がないとは言いません。そういう中で、ほかの先進国が全て共同親権というのは、弊害を超えるさらなるメリットがあるからだと私は思うんですよ。

 単独親権というのは、親権がどちらかの一つになってしまうわけです。そして、それはどういうことを意味するかといえば、子供の監護に関しても、どちらかがそれを奪い取り合おうとしてしまうんです。ですから、今の弊害も鶏と卵の関係でありまして、どちらか一方を単独親権にするためには、片方を悪者にしようという流れになりがちなんですよ。

 そういうようなことがないような共同親権になることによって、離婚するときにも、片方をあえて悪者にしなくても済む。そして、子供を相互の親が一緒になって養育をするというのが共同親権のあり方ですから、弊害はあるかもしれない、しかし、それを先進国は乗り越えているわけですから、ぜひとも我が国もそれについて検討していただきたいと思うんですが、大臣、もう一度所感をお願いいたします。

223 山下貴司

 お答えいたします。

 単独親権につきましては、親権者と認められなかった他方の親を親権者として不適格であるという趣旨を含むものではないわけではございますが、他方で、やはり一般論として、先ほど申し上げたとおり、離婚した後であっても子供にとって親であることは変わりがない、その委員の御指摘も含めて、国会におけるさまざまな議論を注視しながら、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

224 串田誠一

 ハーグ条約に関する不履行ということで、米国から不履行国というふうに認定されているわけでございます。それに関して、執行法の改正等もあるかと思いますが、根底的に言うと、やはり、我が国の親子のあり方というものも含めて批判されていると思うんですが、この不履行国と認定されたことに対して、大臣の御意見をお伺いいたします。

225 山下貴司

 御指摘の認定と申しますのは、アメリカの国務省ですね、これが恐らく本年五月に公表した国際的な子の連れ去りの問題に関する報告書ではないか。その中で、我が国の取組について、米国から我が国への子の連れ去りの件数が減少したという改善があったとの評価がなされる一方で、子を連れ去った親に対する裁判所の返還命令を執行する効果的な手段がないというふうに評価され、御指摘のとおり、米国の国内法の定めにより、不履行のパターンを示す国ということで分類されたものと承知しております。米国から一方的にこのような評価がされたことというのは、まことに残念であるというふうに考えております。

 ただ、私としても、ハーグ条約実施法が適切に運用され、子の返還が適切に実現されることは重要であるというふうに考えております。そこで、先月四日、十月の四日には、民事執行法制の見直しについて、ちょうど法制審議会から答申がなされたわけでございます。これは、もう前に諮問をしていたところではございますが、その答申において、ハーグ条約実施法に基づく子の返還の手続についても、その実効性を確保しながら、子の心身の負担にも配慮した規律を設けること等が盛り込まれているところでございます。

 法務省としては、この要綱に基づく関係法案の立案作業、これを行うとともに、米国に対しても、関係機関と連携しつつ、外交ルートを通じ、我が国の取組についてしっかりと情報提供を行うなど、相互の理解を深めてまいりたいと考えております。

226 串田誠一

 DV被害者はしっかりと守らなければなりません。しかし、自分の子供に会えないという親がいらっしゃることも、これは事実なんです。ほかの先進国もそういう長い歴史の中で築き上げてきた共同親権ということを、ともに改正していきたいと私は思っております。今後もまた、これを取り上げていきたいと思います。

 本日はこれで終わります。ありがとうございました。

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