第177回国会 衆議院 法務委員会 第9号

衆議院法務委員会第9号(2011年4月26日)

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008 井戸まさえ

 今、子の福祉を第一に考えてのこの改正に至ったということ、理念も含めて御答弁をいただきましたけれども、その理念というのを具体的に実現していくためには、やはり円滑な面会交流、これを促していくような社会的な支援制度というのが大切だという認識は法務省も持っておられて、先般の御答弁の中でも、委託で面会交流支援の実態調査を行っているという御答弁がありました。おまとめになった調査報告書がどのように反映されているのか、これには注視をしていきたいと思っています。

 前回の質問でも触れましたけれども、離婚件数から考えても、面会交流は民間だけではとても間に合いません。公的な支援体制をつくっていくことが重要だということは指摘したとおりでございますけれども、広く支援を受けていただくためにも、今ある女性センターなど公的な機関の有効活用などもされたらいいのではないかと思います。また、人材の確保については、全国には弁護士会さんなんかもありますので、弁護士の活用など、今ある施設や人材の活用も検討されたらいかがでしょうか。これは原民事局長に御答弁をお願いしたいと思います。

009 原優

 委員今言われましたとおり、面会交流が適切に実行されていくためには、当事者任せということではなくして、行政もそれをサポートする体制をつくっていくことが必要だと考えておりますので、法務省としましても、厚労省等関係省庁と協力して、そういうサポート体制の構築に向けて努力をしてまいりたいと考えております。

010 井戸まさえ

 今、厚労省や関係のところとの連携をしながらという御答弁があったんですけれども、例えば、社会的な支援制度の充実、そして民法改正の今回の趣旨を実現するためには、まさにその関係する機関との役割分担、そして連携というものが必要だと思います。

 具体的に、関係省庁担当者連絡会議などの設置を検討いただければと思うのですが、これはいかがでしょうか。これは大臣にちょっとお伺いをしたいと思います。

011 江田五月

 おっしゃるとおり、いろいろな関係機関が、官民ともに面会交流が円滑に実施できるように協力してサポートしていくことは大切だと思っております。関係府省庁等との連携、これも必要不可欠であると考えておりまして、法務省としても可能な対応について考えていきたいと思います。

012 井戸まさえ

 これは当然法務省だけではできないので、きょうは小宮山厚生労働副大臣にもお越しをいただいていますけれども、厚生労働省としてはどのようにお考えで、どのような対処を検討していくおつもりなのか、伺ってもよろしいでしょうか。

013 小宮山洋子

 厚生労働省では、平成十九年から養育費相談支援センターを設置しまして、ここで、養育費だけではなくて面会交流の相談にも応じています。平成二十一年度は、面会交流の相談を百三十四件ここで受けています。

 また、都道府県等を単位に設置されました母子家庭等就業・自立支援センターで、専門の相談員を配置しまして、養育費や面会交流の相談支援に応じています。平成二十一年度、こちらでは面会交流の相談を三百九十四件受けています。

 今後とも、専門の相談員を配置していない母子家庭等就業・自立支援センターに配置を進めるとともに、相談員の人材養成のための研修や関係機関との連携など、面会交流に関する相談支援体制の充実を厚生労働省としてもしっかり図っていきたいというふうに思っています。

014 井戸まさえ

 今、面会交流の相談、百三十四件だとか三百九十四件という数字を伺って、やはり愕然とする思いです。監護が必要な子供たちの離婚というのが、年間ですよ、一年間に十四万件あるのに、今までやっていた相談の数というのがこの三百九十四件だとか、もう圧倒的に少ない。これがなぜうまくいかなかったのか、その原因というのを、小宮山副大臣、もう一回御答弁いただけますでしょうか。

015 小宮山洋子

 なかなか難しいところですけれども、離婚に至るのにやはり両親の間にいろいろな確執があるかと思いますので、その中でやはり子供のことを第一に考えるという視点が、当事者もそうですし、それをサポートする体制がなかなか整っていなかったということもあるかと思いますので、これからこういう法改正があることも踏まえて、ここは本当に、おっしゃるように省庁横断的に、ぜひ、子供を守る、子供の権利をちゃんと守るという意味から、しっかり取り組まなければいけないテーマだと私自身も思っています。

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016 江田五月

 今、小宮山副大臣の言われたことだと思いますが、私など、かなり以前になりますが、民法を勉強したときには、やはり離婚の際に、監護親に子のすべての監護の権限を集中した方が、子供に対する監護、介護、教育、この軸がぶれなくてその方がいいんだというような、そういう理解があったと思うんですね。それが社会一般に、非監護親もやはり親、そして親子の関係は子供の成長に大事なんだ、そういう理解がなかなか広がらなかった根本だったのではないかという気がいたします。

 しかし、考えてみて、今、夫婦のあり方、これはもうさまざま、別れ方もさまざま、そんな中で、確かに、お互いどなり合いながら別れるというのでは、これは葛藤がずっと残って、会わせたくない、あるいは連れ去られる心配をする、そういうことがあると思いますが、そこはこれから、別れ方ももっともっと、スマートな、上手な別れ方というのがだんだんできてくるので、そうすると、非監護親と子との関係というのも、ずっと社会の理解も変わってくるのではないか。そうした社会の新しい理解を広めていく必要が今あるんだと私は思っております。

017 井戸まさえ

 スマートに別れるというのは非常に難しい、体験者は皆さん思っていらっしゃることだとは思うんですけれども、やはりこれだけ件数が少なかったというのは、離婚するときに、例えば監護の費用のことだとか、また面会交流について、決めなければいけないことだという認識自体がなかったと思うんです。だからこその今回の民法の一部改正につながっていると思うんです。

 先般も、大臣いらっしゃらないときに、私は、協議離婚のときに、離婚届の中に、それを決めたかどうかというチェック欄をつくったらいいんじゃないかということも御提案をさせていただいたんです。そうすれば、そのとき、それが決まっていることが離婚するための要件では当然ないんですけれども、しかしながら、やはりこれは決めていかなければいけないことだということの認識、そして周知徹底というのをきっちりと図っていくべきだと思うので、ぜひともまたそれも御検討いただきたいと思っています。

 そして、今回、児童虐待の絡みでここで面会交流のことについて出てきたことについて、先ほども、十分な議論がなかったということも御指摘をさせていただいたんですけれども、前回聞きましたけれども、父母との面会交流だけでなくて、子供がその離婚後、例えば一緒に暮らしていない側の親の祖父母ですとか、または別れ別れになってしまった兄弟姉妹、あるいは子供と相当期間一緒に暮らした親族や里親などについて、諸外国の例を挙げて、検討するべきなんじゃないか、これに関しても面会交流の機会というものをきちっと制度化していくべきじゃないかということを質問させていただきました。

 その際に、原民事局長から、「昨今、我が国では小家族化、少子化が進んでおりますし、離婚や再婚も増加しているということでございますので、祖父母とか兄弟姉妹などが子供と面会交流をしたい、その面会交流を認める必要があるのではないかという議論が高まってきていることは承知しておりますので、この問題につきましては、議論の行方を見ながら検討してまいりたい」と、前向きに御答弁はいただきましたけれども、具体的には、どのような場でこうした議論が行われるのでしょうか。多くの当事者の関心もあるところなので、ぜひそのプロセスも明らかにしていただきたいと思います。原民事局長、お答えをお願いいたします。

018 原優

 現段階において、具体的に、どの場で議論し、どういうスケジュールでやるということは、まだ確たるものは持っておりません。

 この家族法の民法の歴史を見ますと、昭和二十二年に日本国憲法の制定を受けて大改正がされ、その後、個別的な部分については見直しがされておりますけれども、家族法全体についての見直しというのは今までされていないわけでございます。

 家族法の部分について、婚姻、離婚法制につきましては平成八年の二月に答申が出ましたけれども、この答申自体についていろいろな御意見があって、その改正もまだされていない。親子法制全体につきましても全体的な見直しがされていないわけですので、やはりこういった家族法全体についての見直しというのは今後重要な課題だと思っておりますので、その中で、親と子だけではなくして、子に対して愛情を注ぐ祖父母あるいは兄弟との面会交流という話も、当然検討の対象にはなってくるのではないか、こういうふうに考えております。

019 井戸まさえ

 家族法全般については後ほどまたお聞きをしたいと思っているんですけれども、その前に、懲戒権の規定が今回削除されなかったことについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今回の改正で、懲戒場に関する記述は削除されましたけれども、懲戒権の規定は残ってしまいました。委員会でも参考人から、この条項を削除すべきではないかという発言がありました。大臣の御答弁は、子に対する親のしつけのあり方には多様な意見があるとして、しつけとの境界線が非常に難しいという御趣旨の答弁だったかと思います。

 細かな法律論をここで論じるつもりはないんですけれども、規定を削除した場合に関しては、児童虐待の防止をするんだという強いメッセージを出すことになって、これは虐待防止に資すると思いますし、残ればその逆で、子供のしつけと称して行われる体罰や虐待というのは許されるのだという誤ったメッセージを出してしまう可能性もあったのではないかと危惧しています。

 将来的にはどのようにすべきだと大臣はお考えなのか、改めて伺いたいと思います。

020 江田五月

 懲戒についてはいろいろな議論がございます。懲戒という規定を削除するとしつけもできなくなるといった誤った受けとめ方があるという主張もあるし、そんな受けとめ方はないという主張もあるし、なかなかこれはエビデンスでもって証明することが極めて難しいところでございます。

 今回は、懲戒場は、もちろんこれはどこから見たって時代おくれに決まっているので削除しましたが、懲戒という言葉自体は残しました。しかし、私は、今はこういう立場ですが、民主党の担当の仕事をしていますときに、懲戒という規定を削除する法案をまとめたこともございます。これは、私がその担当ではないんですが、しかし、法務ネクスト大臣という立場で、民主党の提案としたこともございます。

 今回の改正の状況を見ながら、今後検討していく課題だと思っております。

021 井戸まさえ

 ありがとうございます。また今後いろいろな議論をさらに深めていければと思っています。

 それでは、家族法の全般についてまたお伺いをしたいと思います。

 民法改正は、法制審議会が一九九六年二月に民法改正法律案要綱を答申して、ことしで十五年になります。しかしながら、いまだ実現をしていません。

 今回の改正では、九六年答申の一部が改正されるわけですけれども、ある意味、ちょっと釈然としません。子の福祉、子の利益であるならば、民法九百条四号ただし書きの、婚外子への相続分差別の撤廃こそ行われるべきだったのではないか。これを行わずに子供のためと言われても、本当にそうなのかということを思わざるを得ません。

 子供を嫡出でないと法で差別する国というのは非常に珍しくて、国連の各種委員会からたびたび勧告も受けています。子どもの権利委員会では、嫡出でない子という差別的な用語を改めるということも求められています。

 法改正をしないということは、法律による差別が解消されないだけでなくて、経済や財政ばかりを政治の中心ととらえて、人権を軽視し続けているのではないかと、この国のあり方というものも問われてしまいます。

 くしくも、九六年の法制審の審議を最も御存じのお二人、原局長と小宮山副大臣がいらっしゃるわけですけれども、お伺いをしたいと思います。

 まず、原民事局長に伺います。

 法制審議会から法律案要綱として答申されて、たなざらしとなっているものが、この九六年の民法改正法律案以外にあるかどうか、このことをお伺いしたいと思います。

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055 江田五月

 高齢者の虐待の防止が重要な問題になっていることはよく承知をしておりますが、高齢者虐待防止というのは、やはり第一義的には、行政による対応によって迅速に解決するということが望ましい問題だと思います。しかし、高齢者、みんなの将来、みんなのあすですよね、これを社会で支えていこうというのもまた当然で、こうしたことから公的な介護の制度も導入をされ、これもいろいろな問題を含んでおりますが、さらにいいものにしていかなきゃいけないというのは当然です。

 ただ、介護の問題は民法の問題とはやや違って、民法の問題ということになりますと、やはり財産の管理が問題、財産の管理の能力に問題があるという場合に成年後見制度などがこの役割を果たすということでございます。この成年後見制度というのは家族法の、民法の世界の問題ではございますが、家族法と高齢者虐待の関係は引き続き注視をしていきたいと思います。

056 大泉ひろこ

 ありがとうございました。これで質問を終わります。

057 奥田建

 次に、馳浩君。

058 馳浩

 自由民主党の馳浩です。よろしくお願いいたします。

 先週、四月二十日の連合審査会に引き続いて、子供の連れ去り問題から質問をさせていただきます。

 子供の最善の利益を重視する姿勢を一段と今回の民法改正で出しました。ならば、未成年者の子供がいる夫婦間で起こった子供の連れ去り問題は、子供の最善の利益をしっかりと勘案して、慎重に裁判所の決定をすることが今回改正の立法趣旨の一つだと私は思いますが、大臣としての見解をお伺いしたいと思います。

059 江田五月

 夫婦の間で子の奪い合いが生じた場合の子の引き渡し、これは、現在、家事審判法では、民法七百六十六条の子の監護について必要な事項として家庭裁判所が判断するわけですが、その場合に、本法律案で「子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」という理念を明記しておりまして、これはもう委員の御指摘のとおりだと思っております。

060 馳浩

 具体的には、DV防止法上の保護命令を出すときも、より慎重に適正手続を踏んで行うこと、不当な連れ去りは、場合によっては児童虐待となる場合もあること、監護親を決定する場合に、不当な連れ去りは不利に働き、逆に、面会交流に積極的な親が監護親の決定に有利に働くこと、面会交流の約束を正当な理由なくほごにした場合、監護権者変更の重要な要素となるなど、これらの四点をしっかりと制度化していくべきではないかと思いますが、いかがですか。

061 江田五月

 DV防止法上の保護命令は適正手続が必要だ、あるいは子の連れ去りが場合によっては児童虐待になる、あるいは監護権、監護親を決定する場合に不当な連れ去りが不利に働くように、面会交流に積極的な親が監護権決定に有利に働くように、あるいは面会交流を正当な理由なく破ったら監護権者の変更の重要な要素になり得るというような御指摘は、いずれも一般論としては異論ありません。重要な指摘だと思います。

 ただ、この一般論を法制化するということになりますと、その必要性とかあるいはルールとしての明確性、ほかに考慮すべき要素がないかどうかなど、いろいろ考慮しなきゃならぬ点がございまして、今の段階では慎重な検討が必要だと思います。

062 馳浩

 続いて、共同親権、共同監護権の問題について質問をさせていただきます。

 このテーマで質問をする私の意図は、離婚をしても親としての機能は共同で果たすべきであるという、この大原則にのっとっての私の質問の趣旨であります。

 まず最初に、今回の改正で子の最善の利益を軸に改正が行われましたが、このような流れの中で、さらなる進化形が共同親権、共同監護の導入だと私は考えており、伺います。

 先進主要国で共同親権、共同監護権を導入している国はどこですか。選択導入も含めて教えてください。

063 江田五月

 私も直接にそれぞれの主要先進国の法制に自分で当たったわけではございませんが、私が知っている限りで言えば、ドイツにおいても、フランスにおいても、あるいはアメリカにおいても、選択肢ということも含めて、いずれも離婚後の共同親権制度を採用していると承知をしております。

064 馳浩

 我が国では、共同親権、共同監護権について法制審議会等で検討されたことはありますか。もしされていないのなら、これだけ学界やマスコミ等で議論をされているのに、なぜされていないのでしょうか。

065 江田五月

 これも直接存じ上げているほど知識が博学ではありませんが、法制審議会民法部会の身分法小委員会というのが昭和三十年七月にまとめた親族法の仮決定及び留保事項中において、離婚後も共同親権とするか、なお検討を要するというようにされたと承知をしております。

 さらに、法制審議会民法部会身分法小委員会が平成三年から婚姻及び離婚制度全般について見直しを審議して、平成六年七月にまとめた要綱試案では、これも共同親権の制度については今後の検討課題とするとされたということで、検討はされたがいずれも今後の課題とされているということでございまして、検討していないわけではないです。

066 馳浩

 では、伺います。

 どうして単独親権でなければいけないんですか。

067 江田五月

 これは、私なんかが民法を勉強したころには、共同親権ということになりますと、子供の監護、教育方針がどちらか統一されない、子供の価値観の分裂とかそういうものにつながって、やはり子供がすくすく育つには、監護、教育方針というのはどちらか一方で専ら行われた方がいい、そういう考え方であって、さらにまた、離婚に至った夫婦のトラブルがそのまま離婚後も持ち越すことになってしまうとか、あるいは共同親権だとどうしても適切な合意がなかなか難しいとか、いろいろそういうようなことが言われたということだと理解をしております。

 そのいずれもが、今も妥当するかどうか、これは今日においてはなお議論を要する、そのとおり今も当てはまると単純に言える問題ではないと思っております。

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068 馳浩

 今回の改正で、離婚後も親子のきずなを絶つべきではない、親子の継続的交流が基本的には子の最善の利益に資すると価値判断されているのであるならば、当然、離婚後の共同親権、共同監護権も、選択的にでもできるようにすべきではないですか。いかがでしょうか。

069 江田五月

 面会交流が離婚の際の監護について必要な事項の具体例として条文に明示されて、しかも、この決定については「子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」という理念を明記したのは、これは委員の御指摘の考え方を踏まえたものだと思っております。

 ただ、そのことと離婚後の共同親権、共同監護権といった制度とがそのままストレートに結びつくのかというと、必ずしもそうではないので、親権を持つ親が監護親になり、しかし、非監護親、つまり親権のない親も親子関係というのはあるから、子がすくすく育っていくためには、もちろん適切に行使されなきゃいけませんが、面会交流が非常に有益だという考え方で今のようなことを導入しているわけで、繰り返しですが、そういうことを導入するから直ちに共同親権の方がいいんだという結論には結びつかない。しかし、それがだめだという趣旨でもありません。

070 馳浩

 今回の改正で、民法の親権規定の体系からも、共同親権、共同監護が認められないのはおかしいのではないかと私は考えています。

 なぜなら、今回の民法第八百二十条の改正で、子の利益のために親権が行使されること、そして民法第八百十八条第三項で、子の利益のために、婚姻中の親権は共同行使、すなわち共同親権と定められていること。しかし、それが離婚すると、いきなり単独親権と決め打ちされてしまいます。子供の最善の利益といいながら、離婚したら、何が子供の利益になるかを考慮せず、単独親権を押しつけています。これでは法体系上も、単独親権を定める第八百十九条第一項自体が孤立をし、破綻していると言わざるを得ません。いかがでしょうか。

071 江田五月

 今日まで、離婚後は単独親権ということでやってまいりました。それはそれなりに、その当時の一応の理由はあってやってきたわけですが、単独親権を直ちに共同親権というのは、やはり一つハードルが高過ぎるのかなという感じはいたします。

 それよりもむしろ、単独親権ではあるけれども、非監護親も親子の関係は続いているという、これはもう厳然たる事実でございますし、非監護親と子との信頼、愛情、教育、そうしたものが監護親との協力のもとで上手に果たされていけば、これは子の利益、子の福祉に合致するのでありまして、単独親権といえども、そうした離婚後の親と子の関係が樹立されるならば、これは大変好ましいことだと思っております。

072 馳浩

 大臣、ちょっとこの話を聞いてくださいね。

 カナダで国際結婚をしていた女性が、カナダで離婚をして、共同親権ですね、諸般の事情があって子供を連れて日本に帰ってきまして、日本の家裁で審判の結果、最終的に単独親権となった。これはやはり、共同親権としてカナダで離婚をした一方の親にとっては、なかなか釈然といかない問題でありますよね。いわば、こういうことが起こり得ますし、実際に起こっているんですよ。

 したがって、国際結婚、国際離婚は一般的になってきましたよねというこの間からの大臣の発言は、実際、現場では、やはりそのとおりなんですよ。そうすると、大臣、今も高いハードルというふうにおっしゃいましたけれども、だから私も、選択制のある共同親権ということも視野に入れながら、いま一度、法制審議会に諮るときじゃないかなと思っているんです。

 今回、親権制度について、子の最善の利益、また、離婚後も継続的に親との交流が大切ですよねという理念をうたった改正をした以上は、離婚をした後の子供の利益を考えながら、まさしく親権の中でも一番重大な事案である共同養育、共同監護については、選択的に認めてもよい、つまり選択制と。このことはぜひこの段階で検討に入ってほしいと私は思っておりますし、今回、残念ながら、我々が要望してきた親権の一時・一部停止のうち、一部停止は入りませんでした、これも議論がございましたが。私は、この一部停止の問題についても、やはり事案によっては一部停止も必要ではないかとずっと思っております。

 このことも含めて、今回の民法改正で一区切りではありませんよ、さらに検討を深めましょうよ、こういうふうに御理解をいただきたいと思っております。大臣の御所見を伺います。

073 江田五月

 今、カナダで結婚、離婚して、日本に帰って、カナダでは共同親権、日本では単独、そういう事例も恐らく現実にはあるのかと思いますが、私は余り国際私法というのは詳しくないんですが、婚姻と離婚の準拠法が、もしカナダならカナダ、日本なら日本、どちらかになるのではないかと思いますが、現実には、今委員がおっしゃったようなこともあるのかなと思います。

 そうした混乱も乗り越えていかなきゃいけない。共同親権を選択制にすること、親権の一部停止、そうしたことも、議論は、特に一部停止ということについては今回法制審議会でも検討されたということでもございますし、委員の今の問題提起というのは卓見だと思います。

074 馳浩

 一事例ではありますが、参考にということで、もう一度お聞きください。

 カナダで結婚していた日本人同士が、カナダで離婚をした。カナダの法的根拠のもとで、共同親権。一方が、何かあったんですよね、日本に帰ってきて裁判を起こして、単独親権だと。カナダに残された日本人はたまらないですよね、これは。御理解いただけると思います。紛争がいまだに継続している事案もあります。

 これはやはり、国際結婚といっても、日本人同士が海外の法制度のもとで結婚した場合というふうな事案もあるそうであります。国によって、共同親権、選択制共同親権、あるいは共同監護ということを考えると、私は、今から申し上げるこの点が一つのポイントかなと思うのは、離婚するときには、ちゃんとお互いに話し合って、共同の養育計画、養育費の支払い、やはりこの計画書をちゃんとつくって、石井さん、よく聞いておいてくださいよ。離婚するときにつくっておいて、その上でないと離婚できませんよと。もちろん、計画をつくっていたものが、なかなか履行されないこともあるかもしれませんが、それだけの心構えを持ってやはり対応すべきではないのかな、私はそういうふうに思っているんですが、大臣の所見をまず伺いたいと思います。

075 江田五月

 委員の御意見は大切な御意見だと思います、説得力も随分あると思いますが、別の見方もまたありまして、養育計画などをちゃんと決めないと離婚ができないということになりますと、離婚が随分おくれてしまって、その間に人間関係がもつれにもつれというような心配をする向きもあります。

 委員のお話のとおり、十分に話し合って、十分な理解のもとで、面会交流も、費用の分担も、そして養育計画についても、子の父親、母親で合意がきっちりできて、それが実行される、それなら二人は別れる必要はないのじゃないか、いや、そうではないので、夫婦でいることと親子の関係とはまた別ですから、夫婦としては、そろそろ、そろそろといいますか、終わりにしたい、しかし、親子の関係というのは、父親も母親もちゃんと持って育てていきたい、そういうことがちゃんと社会で一般的に行われるようになれば、それは、別れるのがすばらしいとは言いませんけれども、まあ一つのあり方だと思いますが、現実には今なかなかそこまでいっていないので。

 特に日本の場合は、まあ日本の場合といいますか、婚姻は両性の合意によってのみ成立するということになっていて、離婚も同じですから、なかなかそこまで、離婚の条件と離婚の効力要件というようなところまで法制化するのは困難があると思っております。

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168 大口善徳

 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    民法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 親権停止制度については、改正の趣旨の周知、関係機関の体制の整備、家庭裁判所と児童相談所の連携の強化など、制度の円滑な実施に必要な措置を講ずること。

 二 親権停止の請求については、児童等の利益の確保のため、児童相談所長による請求が適切に行われるよう努めるとともに、請求に必要な調査への協力など、児童相談所に対する支援体制の充実に努めること。

 三 親権停止期間中における児童相談所による保護者指導など、親子の再統合のための取組みの充実に努めるとともに、保護者指導に関する家庭裁判所の保護者への勧告制度の創設について検討を行うこと。

 四 未成年後見制度については、未成年後見人の報酬に対する公的支援、職務に伴う損害賠償責任に関する保険料の負担に対する支援等、制度の利用の支援のために必要な措置を講ずること。

 五 離婚後の面会交流及び養育費の支払い等については、児童の権利利益を擁護する観点から、離婚の際に取決めが行われるよう、明文化された趣旨の周知に努めること。また、その継続的な履行を確保するため、面会交流の場の確保、仲介支援団体等の関係者に対する支援、履行状況に関する統計・調査研究の実施など、必要な措置を講ずること。

 六 親権制度については、今日の家族を取り巻く状況、本法施行後の状況等を踏まえ、協議離婚制度の在り方、親権の一部制限制度の創設や懲戒権の在り方、離婚後の共同親権・共同監護の可能性を含め、その在り方全般について検討すること。

 七 児童相談所長、児童福祉施設の長又は里親等が一時保護中、入所中又は受託中の児童等について行う必要な措置については、個別の事案に適切に対応しうるよう、親権者による不当な主張の判断基準を具体的に示して、関係者に周知を図るとともに、関係者に対する研修の実施など、関係者の資質の向上を図ること。

 八 児童虐待の防止等のため、子育てに関する相談・支援体制の充実、虐待通告窓口の周知徹底等、関係する施策の充実・強化に努めること。

 九 児童の社会的養護については、里親制度の周知及び活用、施設の小規模化の推進など、家庭的環境における養護の推進に引き続き取り組むとともに、施設退所後の自立支援、孤立防止のための相談・支援体制の構築に努めること。

 十 強制入所措置がとられ、かつ、面会通信を全部制限する行政処分がなされている場合に限定されている保護者に対する接近禁止命令の対象の在り方について、更なる検討を行うこと。

 十一 東日本大震災により親権者等が死亡し又は行方不明となった児童等について、未成年後見制度、親族里親制度等の活用により適切な監護が行われるよう必要な支援を行うこと。 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

169 奥田建

 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

170 奥田建

 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。江田法務大臣。

171 江田五月

 ただいま可決されました民法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。     —————————————

172 奥田建

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

173 奥田建

 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————

174 奥田建

 次に、第百七十六回国会、内閣提出、参議院送付、民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案は、前国会、本院において原案のとおり議決の上、参議院において継続審査となり、このほど原案のとおり議決の上本院に送付されたものであります。

 したがいまして、その趣旨につきましては既に御承知のことと存じますので、この際、趣旨の説明を省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

175 奥田建

 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————  民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

176 奥田建

 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 第百七十六回国会、内閣提出、参議院送付、民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

177 奥田建

 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

178 奥田建

 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

179 奥田建

 次回は、来る五月十一日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十分散会

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