第180回国会 参議院 法務委員会 第8号

参議院法務委員会第8号(2012年6月19日)

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185 豊澤佳弘

 委員の御指摘のような報道等がなされているということは承知いたしております。

 法改正等が行われた場合、新たな定められた法律の趣旨にのっとった法の解釈、適用あるいは実務の運用というのがなされるべきことは委員の御指摘のとおりでございます。

 先ほどの裁判官の職権行使の独立との関係もありまして、上級庁であるからといって、個々の裁判に関して何らか命令とか指示とかそういうことはできないのは委員の御指摘のとおりでございます。

 ただ、事務当局といたしましては、これまでも法改正等がありました場合には、その立法の経緯やその趣旨についても周知をするように努めてまいりました。

 委員の御指摘の民法等の一部を改正する法律、この四月から施行になっておりますが、これに関しても、法律の内容のみならず、その趣旨についても、国会における審議の会議録の抜粋を書簡に添付する形で周知を図ったり、また研究会等の機会を利用して立法の経緯や趣旨について説明するなど周知を図ってきているところでございますし、今後もこういった取組を継続的に行って実務のサポートを行っていきたいというふうに考えているところでございます。

186 桜内文城

 幾つか対処の仕方はあると思います。今おっしゃったように、きっちり一般的な意味で法改正なりについてしっかりと研修を施す、あるいはその周知を図るということを是非最高裁判所の事務総局にもやっていただきたいですし、また、それとともに、ここから先はやや立法論なので我々立法府の者が考えなくちゃいけないんですけれども、やはり例えば事実認定の在り方とか、今の制度が全然駄目だと言うつもりはないんですけれども、先ほど申し上げたような、ある種、他の刑事事件が取り下げられてなくなったにもかかわらず、そのことを全く反映しないような事実認定が家庭裁判所でなされたと。こういったことがないように手続をもうちょっとしっかりと定めていくですとか、それから、実際のこういった事例に際して、裁判官のやはり独立の範囲というものをしっかり限定していく必要があるんじゃないかと私は思っています。

 なぜかというと、一般の民事事件ですね。もちろん地方裁判所は一人で、裁判長一人でやるわけですけれども、こういった家庭内に入っていくというと、やはり担当の裁判官個人の意向というか、家庭に対する思いとか、世間一般と懸け離れている場合があるので、今の一人制というのを家庭裁判所に関しては合議制にするとか、いろんなやり方はあろうかと思います。

 もちろん、今申し上げたのは手続面あるいは裁判所の構成をどうするかというところなので、これは立法論になりますので我々自身が考えなくちゃいけないんですけれども、そういった工夫も凝らしていく必要があろうかなというふうに思っております。

 特に家庭裁判所ですね。家事事件というのは、結構そういった意味で、非訟事件ということもあってかやや軽視、通常の民事事件に比べて軽視されている節もなくはないんですけれども、でも、各個人、人間一人一人で考えてみますと、民事事件というのは結局はお金で解決するものが多いと思うんです。でも、家事事件の場合は、まさに人生の大変大きなお金に代えられないものについて裁判官が判断していく。より重い判断がなされていくわけですよ、その当事者にとっては。

 そういった意味で、今のような、ちょっと言い方は悪いんですけれども、裁判官の独立が独善に陥らないような仕組みづくりを今後やはり検討していく必要があると思うんですけれども、最後、大臣に、今後の検討の方向性等についてお尋ねいたします。

187 滝実

 大変難しい問題を承りました。基本的には、先般、非訟事件法の改正であるとか、そんなことで議論をしたわけでございますけれども、今の問題はそのときの議論ではないテーマであったかと思います。

 いずれにいたしましても、御意見は承りましたので、その辺のところをよくよく意識した上で今後の課題とさせていただきたいと思います。

188 桜内文城

発言URLを表示 ○桜内文城君 終わります。

189 井上哲士

 日本共産党の井上哲士です。

 今日は、全面的国選付添人制度の実現を求めて質問をいたします。

 少年事件での少年審判は、刑事事件とは違いまして、家庭裁判所が少年に対して後見的な役割を果たすことが基本になっております。一方、少年法十条では、少年及び保護者による付添人の選任を認めておりますが、この理由はどういうことでしょうか。まず大臣、お願いします。

190 滝実

 基本的に少年の保護手続というのは、少年の健全な育成を目指すと、これには異論がないわけでございます。そのために、少年の言わば意思を尊重して適正な審判を行えるような付添人を付けると、これが少年法の基本的な物の考え方だろうと思っております。

191 井上哲士

 適正な審判のためということがありましたが、ですから大半は弁護士付添人ということになっております。

 最高裁、来ていただいておりますが、この弁護士付添人の活動の内容や、その意義について、どのようにお考えでしょうか。

192 豊澤佳弘

 お答えを申し上げます。

 少年審判は、職権主義的審問構造の下に、裁判官が非行事実を認定し、家庭裁判所調査官が非行の原因や少年の問題点等について行動科学の知見を生かして調査分析し、少年や保護者に対して、その結果明らかとなった問題点に応じた働きかけや環境調整を行い、その上で、最終的に裁判官がその少年にとって最もふさわしい処遇の選択を行うと、こういうことを目的とした手続でございます。

 そのような手続の中で、弁護士付添人は審判手続の協力者として、まず非行事実の認定に関しまして、少年の言い分を法律的に整理して裁判官に伝える活動を行っておりますし、また、家庭裁判所調査官の調査分析によって明らかになった少年や保護者の問題点に応じた働きかけや環境調整のうち、反社会的組織からの離脱であるとか被害者の被害回復に向けた直接的な活動など、これらを家庭裁判所調査官と連携しつつ、その専門的知識や経験を生かして行っていただいているというものでございます。

 このように、弁護士付添人は、少年審判におきまして裁判官や家庭裁判所調査官との役割分担の下、適正な手続の実現や少年の再非行の防止に向けまして、審判の協力者としての立場で活動を行っているものというふうに考えております。

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