第177回国会 参議院 法務委員会 第13号

参議院法務委員会第13号(2011年5月26日)

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088 木庭健太郎

 終わります。

089 桜内文城

 みんなの党の桜内文城です。

 今日は、主に離婚後の親権、監護権の在り方、あるいは離婚前、離婚に至る過程での子の利益をどう図っていくのか、そういった点について質問させていただきたいと思います。

 今回の改正案の中で、七百六十六条におきまして面会交流それから養育費についていよいよ法律上、民法上明文化されたという点は大変な進歩であると高く評価したいと思っております。

 ただ、実際には、この面会交流ですとかあるいは養育費につきまして、なかなか実際に強制執行というのが難しい領域でもありますし、この実効性を、どのように家庭裁判所の審判を担保していくべきなのか。ここはやや立法政策を超えた部分でありますけれども、どのようにお考えなのか、大臣の所見をお伺いいたします。

090 江田五月

 御指摘のとおり、民法七百六十六条に手を入れまして、離婚の際に面会交流あるいは養育費の分担、これを合意するように努めろと、こういうことにいたしましたが、合意ができない事例もいっぱいあると、これはこれで大問題。一方で、合意ができた、しかしそれがなかなか履行されないと、これも大きな問題で、そこを御指摘いただいたような問題点があると、これはそう思っております。

 そこで、その合意をどうやって実効性を持たせるかですが、今の制度としては、一つは履行の勧告、これは家庭裁判所。そしてもう一つは、強制執行ということになりますと間接強制しかないと。

 元々、間接強制ということ自体がなかなか実効性の乏しい制度だという指摘もあるわけでございまして、更に一層この実効性を持たせるには、やっぱりこの合意に至ったときの両方の納得というのが一番大きいんですね。その納得を得ながらということになりますと、離婚のときのそうした合意をつくるときに、面会交流をさせたら子が連れ去られるのではないかという不安なんかはないんだと、あるいは離婚のとき、それは確かにいろんな葛藤があるでしょうが、なるべくそうした葛藤をなくするように、後まで尾を引きずらないようにそうした話合いを十分するとか、あるいはこの面会交流がどれだけ子供にとって重要なのかということを別れる両親に十分認識してもらうとか、回りくどいようですが、そうした手間を一生懸命掛けていくことが重要だと思っております。あるいは、面会交流についてそれをサポートする仕組みもまた必要であり、やはり社会的な理解と社会的な資源を豊富化すること、これが大切だと思っております。

091 桜内文城

 ありがとうございます。

 現実の問題といたしまして、やはり協議離婚の場合、大臣御指摘のように、まず合意に至る前ですね、特に子の監護に関する事項として、親権あるいは監護権をどちらに決定するのか、それからまた、一旦決定された後に、その後の面会交流の実績ですとかあるいは養育費の不履行等々いろいろあり得るわけですけれども、そういった場合に、親権者の変更ですとかこういったことも考えていかなくてはならないと思うんですけれども。

 立法論としてとなると思うんですけれども、特に今現実の問題としてよく耳にします問題点というのは、協議離婚の場合、合意に至る前に子供を合意なく一方が連れ去る、連れ去りという言い方が悪いかもしれませんけれども、子連れ別居ということがまずあって、その上で離婚の協議に入っていく、事実としてはそういう場面が多いとも聞くわけですけれども、こういったときに、これは立法論として、監護権者、親権者の決定の際に、例えばまだ相談が途中である、あるいは相談なくして一方的に、合意なくして子を連れ去る。事実上子の監護を行うことを通じて、その後の家庭裁判所での離婚の協議において、今裁判上の一つの準則として継続性の原則というものが言われておるそうですけれども、子供を監護してきたという実績を積み重ねて、それによって親権を取るという事例が多数あると聞いております。  これに対処するためには、やはり合意なくして一方的に子供を連れ去る行為ですとか、あるいは連れ去った後にこれを取り戻されないように虚偽のドメスティック・バイオレンスの申立てをDV防止法に基づいて行うようなことも実際にはあるやに幾つかの報道等で言われておるところでございます。

 何が申し上げたいかと言いますと、今回の七百六十六条で面会交流、そして養育費について明文化されたのは大変いいことなんですけれども、その基となる親権の所在ですね、あるいは監護権の所在について、ある種立法的に、これは法律なのかあるいは政令、省令なのか分かりませんけれども、こういった意に反して子供を合意に至る前に連れ去る行為がある場合には、それを親権の決定の際に考慮する等々、あるいは面会交流をさせない親の場合、親権者の変更について家庭裁判所が判断するときには、これこれについて配慮すべきであるというような、そのような条文というものは立法論としてあるべきだと私は思うんですけれども、その辺について大臣の御所見をお伺いいたします。

092 江田五月

 結婚している夫婦の関係も、あるいは離婚した後の元夫、元妻の関係も、さらにそうした親と子の関係も本当に千差万別でございます。こうした千差万別の夫婦、親子関係をどういうふうに法律的に規定をしていくかというのはなかなか大変なことで、やはりある種の一般的な法規範を作るしかなかなかできないということがあると思いまして、しかし、具体的な事例にそれをどう落とし込むかと。これは事案に応じて、協議離婚ならばそれは二人で決めることですが、そうでなければ家事審判官が個別に判断をすると、そこに委ねざるを得ないんではないかと思います。

 一般論で言えば、専ら子の福祉の観点から、父母それぞれの意向であるとか今までの養育状況とか、あるいは双方の経済力、家庭環境、子の年齢、子の心情や意向、子の情緒の安定性等の諸事情を総合的にと、こうなってしまうわけでございますが、今委員が御指摘のようないわゆる継続性の原則、これは今言ったようないろんな事情から、合意ができる前にあえて無理して子を移動させてそして自分の管理下に置けば、後は継続性の原則で守られるという、そういうことはやっぱりあってはいけないと。全てのことがもし同じならば、それは子供にとって環境が変わることが必ずしも好ましいわけじゃない、同じ環境の下で育つ方がいいとは言えますが、継続性の原則があるから、だから連れ去った方が得だと、そういうことがあってはいけないことは御指摘のとおりだと思っております。

17頁

124 豊澤佳弘

 お答え申し上げます。

 裁判所といたしましては、これまでも家庭事件の処理の充実強化という観点から、相当数の増員を行うなどして人的体制の整備を図ってきているところでございますが、今後も事件数の動向であるとか事件処理状況等を的確に把握し、今回の法改正後においても円滑な事件処理が図られるよう、きめ細やかな目配りをして必要な体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

125 井上哲士

 終わります。

126 浜田昌良

 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。

 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。

 民法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

127 浜田昌良

 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

 この際、桜内君から発言を求められておりますので、これを許します。桜内文城君。

128 桜内文城

 私は、ただいま可決されました民法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党、公明党、みんなの党及び日本共産党の各派並びに各派に属しない議員長谷川大紋君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。

 案文を朗読いたします。

    民法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 親権停止制度の適正な運用を図るため、改正趣旨の周知徹底はもちろん、児童相談所・家庭裁判所等関係諸機関の体制整備及び相互の連携強化等必要な措置を講ずること。

 二 親権停止の請求が児童等の利益を確保するため行われるものであることに留意し、児童相談所長による請求が適切に行われるように調査への協力等必要な支援体制を講ずること。

 三 親権停止期間中における児童相談所の保護者指導等、親子の再統合の取組の支援に努めるとともに、児童相談所の体制整備や家庭裁判所の保護者への勧告制度等、支援充実のために必要な検討を行うこと。

 四 施設入所等の措置がとられた児童の退所後、再び児童虐待が行われ、又は再び入所等の措置がとられた事例について、速やかにその実態を把握すること。また、児童相談所長が親権喪失等の審判の取消しの請求を行うに当たっては、児童等の利益を確保するため、当該実態を十分に踏まえてその判断を行うこと。

 五 児童相談所長、児童福祉施設の長又は里親等が一時保護中、入所中又は受託中の児童等について行う必要な措置については、個別の事案に適切に対応し得るよう、親権者による不当な主張の判断基準の具体的内容及び事例等を示したガイドラインを速やかに作成し、関係者にその周知徹底を図るとともに、研修の実施など支援体制の充実に努めること。

 六 未成年後見制度の円滑な運用を図るため、未成年後見人の報酬に対する公的支援、職務に伴う損害賠償責任に関する保険料の負担に対する支援等必要な措置を講ずること。

 七 親権制度については、今日の家族を取り巻く状況や本法施行後の状況等を踏まえ、懲戒権の在り方やその用語、離婚時の親権の決定方法、親権の一部制限の是非、離婚後の共同親権・共同監護の可能性など、多様な家族像を見据えた制度全般にわたる検討を進めていくこと。

 八 児童虐待の防止等のため、子育てに関する相談・支援体制の充実、虐待通告窓口の充実・強化等に努めるとともに、保護者に対する接近禁止命令の在り方について更なる検討を行うこと。

 九 児童の社会的養護について、里親制度の周知及び活用、家庭的環境における養護の推進に引き続き取り組むとともに、親族里親への支援、施設退所後の自立支援に必要な支援体制等の構築に努めること。

 十 東日本大震災により親権者等が死亡し又は行方不明となった児童等について、その健全な生育と利益の確保のため、未成年後見制度、親族里親制度等の活用を含め、適切な監護が行われるよう万全の支援を行うこと。

 十一 離婚後の面会交流及び養育費の支払い等について、児童の権利利益を擁護する観点から、離婚の際に取決めが行われるように明文化された趣旨の周知に努めるとともに、面会交流の円滑な実現及び継続的な養育費支払い等の履行を確保するための制度の検討、履行状況に関する統計・調査研究の実施等、必要な措置を講ずること。

 十二 本法の施行後、親権停止制度の運用状況について、裁判所等関係機関から情報を収集するなどして、当分の間一年ごとに当委員会に対し報告すること。

   右決議する。

 以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

129 浜田昌良

 ただいま桜内君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。

 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。

   〔賛成者挙手〕

130 浜田昌良

 全会一致と認めます。よって、桜内君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。

 ただいまの決議に対し、江田法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。江田法務大臣。

131 江田五月

 ただいま可決されました民法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

132 浜田昌良

 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

133 浜田昌良

 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

 本日はこれにて散会いたします。

   午後零時三十七分散会

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