欧州決議2020/2621の和訳

原文(英語)の和訳です。自由面会交流集団訴訟の訴状から拠出しています。なお、訳文からFないしG項が抜けていましたので、加えました。

欧州議会
2019-2024
本会議
B9-0205/2020
1.7.2020
決議を求める動議
手続き規則第227(2)準拠
日本におけるEU加盟国籍児童の国際的,国内的実子誘拐について
(2020/2621(RSP))
ドロールス・モントセラト
請願委員会代理人
RE/1209135JA.docx
PE647.702v01-00
B9-0205/2020
日本におけるEU加盟国籍児童の国際的,国内的子どもの連れ去り(実子誘拐)についての欧州議会決議(2020/2621(RSP)) 欧州議会は,

  • 世界人権宣言第1条を考慮して,

  • 1989年11月20日の児童の権利に関する条約(UNCRC)第9条を考慮して,

  • 1980年10月25日の国際的な子どもの連れ去り(実子誘拐)の民事上の側面に関する条約(以下1980年ハーグ条約)を考慮して,

  • 欧州連合条約(TEU)第2条,第3条第1項,第3条第5項ならびに第3条第6項を考慮して,

  • 欧州連合基本憲章第24条を考慮して,

  • 1963年の領事関係に関するウィーン条約を考慮して,

  • 欧州議会宛の請願に基づいて欧州連合全体で子どもの最善の利益を保護することに関する2016年4月28日の欧州議会決議(注1:OJC66,21.2.2018,p.2)によって明示された原則を考慮して,

  • 2017年の子どもの権利と促進と保護に関する欧州連合ガイドラインを考慮して,

  • 日本における欧州連合市民権のある子どもに係る子どもの連れ去り(実子誘拐)と監護権ならびに面会権についての紛争における,子どもの権利に関する欧州議会調整官の役割と活動を考慮して,

  • 2020年2月19日~20日の請願委員会の会議における審議を考慮して,

  • 当議会の手続き規則第227(2)を考慮して,

  • A.請願委員会が2020年2月19日の会議で,片方が欧州連合市民でもう片方が日本国民である多国籍夫婦が関与する,子どもの連れ去り(実子誘拐)と訪問権に関する請願0594/2019,0841/2019,0842/2019ならびに0843/2019について議論したものであるところ,

  • B.これらの請願は日本が,裁判所が1980年ハーグ条約の手続きに従って子どもを返還する決定をした際の執行がずさんであること,また面会権と訪問権の強制執行の方法が未整備であることにより,以って欧州連合市民である親が,日本に居住する彼らの子どもたちと有意義な関係を維持することを阻害していることについてであるところ,

  • C.片親が欧州連合市民でもう片方が日本国民である未解決の子どもの連れ去り(実子誘拐)事件が相当件数にのぼることは憂慮すべきであるところ,

  • D.複数の情報源によって子どもの奪取は深刻な児童虐待の一種であると明らかになっているにも拘わらず,日本法に於いて共有あるいは共同養育をなし得ないところ,

  • E.日本では,子どもの奪取の被害者である親の面会権と訪問権は大幅に制限されているか存在しないものであるところ,

  • F. 欧州連合加盟国は全て1980年のハーグ条約及び児童の権利に関する条約の加盟国であるところ,

  • G. 日本は2014年にハーグ条約に加盟し、1994年より児童の権利に関する条約の加盟国であるところ,

  • H.日本に居住する欧州連合市民の子どもは,彼らが身体的,精神的,社会的に良好な状態であるために必要な保護や監護を受ける権利を享受できなければならないところ,彼らは自由に意見を表明して良いものであるところ,そのような見解は,彼らの年齢と成熟度に応じて,それらに関係する問題について考慮に入れられなければならないところ,

  • I.両親は子育てと子供の成長の主たる責任者であるところ,加盟国は,両方の親が子育てと子供の成長に共通の責任を負うという原理原則が確実に認識されるために最善を尽くす義務があるところ,

  • J.日本での欧州連合市民である子どもに関する処置は,子どもの最善の利益を第一に考慮されなければならないところ,

  • K.欧州連合市民である全ての子どもには,彼らのためにならない場合を除き,恒常的に,彼らの両方の親と個人的な関係と直接的な接触機会を維持する権利があるところ,

  • L.加盟国は,司法審査の対象となる適格な当局が,然るべく法律および手続きに従って,子どもの最善の利益のためにそのような引き離しが必要であると決定した場合を除き,子どもが自分の意思に反して親から引き離されないことを保障する義務があるところ,そのような決定が必要な場合とは,例えば親による子どもの虐待や遺棄を伴う場合,または両親が別居していて,子供の居所に関して決定を下さなければならない場合など,特段の事情によるところ,

  • M.加盟国は,子どもの最善の利益に反する場合を除き,片方または両方の親から離れた子供が,両方の親と個人的な関係と直接的な接触機会を維持する権利を尊重する義務があるところ,

  • N.子どもの迅速な返還を保障するために,1980年ハーグ条約のすべての加盟国は,条約の責任を義務に適合した国内法や措置を導入することを請け合わなければならないところ,

  • Q.両親が異なる国に住んでいる子どもには,特例的な事情がある場合を除き,両方の親と個人的な関係と直接的な接触機会を維持する権利を持たせなければならないところ,

  • P.フランスのエマニュエル・マクロン大統領,イタリアのジュゼッペ・コンテ首相,ドイツのアンゲラ・メルケル首相がフランス,イタリア,ドイツの親たちを代表して日本の安倍晋三首相と話し合い,駐日欧州連合大使が子どもの奪取に関する共同書簡を日本の法務大臣に送ったところ,

  • Q.2019年8月,子どもをもう一方の親に連れ去られた(実子誘拐された)親から正式な苦情が国連人権理事会に申し立てられているところ,

  • R.子どもの権利に関する欧州議会調整官が,個別に親たちを支援し,欧州連合市民の子どもの連れ去り(実子誘拐),監護権,そして面会権に係る紛争に関わる特定の問題について,2018年10月の日本の法務大臣,2019年5月の駐欧州日本大使を含む日本の当局に対し問題提起してきたところ,

  • S.2020年3月6日には請願委員会が,2020年2月5には子どもの権利に関する欧州議会調整官が,欧州委員会副大統領/欧州外務・安全保障政策上級代表(VP/HR)であるジュゼップ・プレイに,1980年ハーグ条約とUNCRCに基づく日本の国際社会に対する義務をEU・日本戦略的パートナーシップ協定の一環として組織された次の合同会議の議題に含めるよう要求する書簡を送付したところ,

  • T.2020年1月31日,欧州連合は,EU・日本戦略的パートナーシップ協定に基づく第2回合同委員会会議において,日本に対し国内法の枠組みとその効果的な実施を改善することにより,以て司法の決定と,UNCRCおよび1980年ハーグ条約などの日本の国際公約の尊重を確保するよう求めた。また欧州連合は,子どもの最善の利益を確保し,親に与えられた訪問権を尊重する必要性を強調したところ,

  • U.2020年2月19~20日の会合の結果を受けて,請願委員会は欧州連合日本政府代表宛てに書簡を送り,日本当局に対し,国際的な子の連れ去りの民事上の側面に関する国内法および国際法を遵守するよう要請したところ,

  1. 日本における子どもの連れ去り(実子誘拐)と,関連する法律や司法決定が全国的に施行されていないという事実による結果として苦しんでいる子どもたちの状況について,懸念を表明する。日本にいる欧州連合市民の子どもたちが,自分たちの権利を守る国際協定の規定による保護を享受できなければならないと勧告する。
  2. 欧州連合の戦略的パートナーたる日本が,子どもの連れ去り(実子誘拐)の件において国際法規を遵守する気がない様子である事に遺憾を表明し注目する。たとえば,1980年のハーグ条約に基づく子どもの返還に関する手続など,日本および関連国のその他の裁判所から言い渡された決定が日本で効果的に執行されるように,国の法的枠組みを改善する必要があると勧告する。
  3. 子ども達のための人権原則は日本政府による国家的行動に依存しているという事実を強調する。多くの立法および非立法措置が,両方の親に対する子どもの権利を保護するために,ことさら必要であることを強調する。日本の当局に対し,子どもの連れ去り(実子誘拐)の被害者である親に裁判所が認めた面会権と訪問権,及びそのような親が日本に居住する子どもたちとの有意義な接触を維持する権利について,効果的に執行するよう要請する。これらの決定は常に子どもの最善の利益を念頭に置いて行われるべきであることを強調する。
  4. 時間の経過が子どもにとって,また子どもと子どもの連れ去り(実子誘拐)の被害者である親の間の将来の関係に長期的な悪影響を及ぼす可能性があるため,子どもの連れ去り(実子誘拐)は,迅速な対応が必要であることを強調する。
  5. 子どもの連れ去り(実子誘拐)は,子どもが身体的,精神的,社会的に良好な状態であることに害を及ぼすことがあるとともに,長期的に有害な影響を与えることがあるという事実を指摘する。子どもの連れ去り(実子誘拐)は,子どもと奪取の被害者である親の両方にとって精神障害の問題を引き起こすことがあることを強調する。
  6. 1980年ハーグ条約の主たる目的の1つは,子どもの連れ去り(実子誘拐)の直前の常居所たる国への迅速な返還を確実なものにするための手順を確立することにより,以て子どもの連れ去り(実子誘拐)の有害な影響から子どもたちを保護することであることを強調する。
  7. 子どもの権利に関する欧州議会調整官による支援とこの状況への取り組みへの彼女の関与を歓迎するとともに,引き続き彼女に請願委員会と協力して請願者が提起した事件に対処するよう要請する。
  8. すべての子どもの保護の制度には,国境を越えた紛争の特異性を考慮に入れた,多国間の国境を越えた仕組みを導入する必要があると強調する。
  9. ハーグ会議と連携して,国境を越えた家族紛争で両親に支援を提供できるようにするために,一般人にわかりやすい情報支援プラットフォームを確立することを提言する。(例:第三国における子どもの奪取及びその他の子どもの権利に関する情報を含むオンライン司法情報サイトの完成)
  10. 離婚または別居の場合に日本のような国々で遭遇する可能性のある困難に関する警告を含む,第三国における家族法および子どもの権利に関して,信頼できる情報を欧州連合加盟国が市民に提供することを推奨する。
  11. EU・日本戦略的パートナーシップ協定の合同委員会を含む検討可能なあらゆる場面での,欧州委員会の献身的な問題提起を歓迎する。
  12. 戦略的パートナーシップ協定の一環として企画されたEUと日本の次回の会議の議題にこの問題を含めるよう欧州委員会副大統領/欧州外務・安全保障政策上級代表(VP/HR)に要請する。日本の当局に対し,刑法及び民法を適用するよう要請する。
  13. 1980年ハーグ条約に基づき,同条約第6条と第7条に規定される通り,中央当局が負う,子どもとの接触機会を維持できるように子どもの連れ去り(実子誘拐)の被害者の親を支援する義務などを,日本当局は確実に果たさせる義務がある旨を勧告する。
  14. 日本の当局は,領事関係に関するウィーン条約の規定を尊重し,ことさら,(例えば欧州連合加盟国籍の)子どもの最善の利益とその親の権利を危機から守る時の場合,加盟国の代表が領事の職務を遂行できるようにする義務がある旨を勧告する。
  15. 親の面会権と訪問権を制限または完全に拒否することは,UNCRCの第9条に違反する行為であることを強調する。
  16. 欧州委員会と欧州理事会がUNCRC締約国の義務,特に,子どもの為にならない場合を除き,恒常的に,両方の親と個人的な関係と直接的な接触機会を維持する権利を強調するよう要請する。
  17. この点に関して,日本の当局に対し,国の法制度に必要な変更を導入せよとの国際的な勧告に従い,親の関係が解消した後に共有または共同監護の可能性を導入し,以て国内法を国際公約と合致させるとともに,面会権と訪問権についてUNCRCにおける日本国の義務を確実に反映させるよう勧告する。日本当局に対し,自ら批准したUNCRCにおける約束を守るよう勧告する。
  18. 日本当局に対し,EUとの協力を強化し,子どもの連れ去り(実子誘拐)の被害者の親に対して裁判所が認めた面会権と訪問権を効果的に執行することが可能になるよう,欧州連合に対する協力を強化するよう勧告する。
  19. 欧州委員会に対し,各国内や欧州連合全域におけるすべての該当する利害関係者から国境を越えた調停について受け取った提案に特段の注意を払うよう勧告する。
  20. 子どもの保護に関するすべての国際法と,ことさら1980年ハーグ条約の要件を満たすために,欧州連合加盟国間及び第三国との国際協力の強化を勧告する。
  21. 親との接触に関わる場合を含め,判決後の状況の適切な監視が極めて重要であることを強調する。欧州連合加盟国に対し,外務省及び大使館のウェブサイトを通じて,日本国内における子どもの奪取のリスク及び本件に関する日本当局の素行について伝達するよう勧告する。
  22. 欧州理事会に対し,子どもの権利と促進と保護のための委員会指針に基づき,欧州連合加盟国で確立された国境を越えるような児童拉致への警報システムの間の協力を強化し,子どもに関わる警報制度につき欠如するものは設置について欧州委員会と協力すること,関連する国境を越えた拉致事件に対処する協力協定の結論を報告するよう勧告する。
  23. 子どもの保護に関する国際法に基づく義務を完全に履行するよう日本当局に圧力をかけるために,日本との二国間また多数間会議の全てにおいて議題にこの問題を含めるべく共同の取組を行う事を欧州連合加盟国に勧告する。
  24. この決議を欧州理事会,欧州委員会,欧州連合加盟国の政府及び議会、ならびに日本の政府及び議会に送付するように欧州議会議長に指示する。
comments powered by Disqus